さて、最近映画監督としてわりと名前を見る
イーストウッド。
彼が主役も演じ、またまた周りでも評判の高いこの作品。
男の生きざまを感じさせてくれる。
ストーリーは
妻に先立たれ、一人暮らしの頑固な老人ウォルト。
人に心を許さず、無礼な若者たちを罵り、
自宅の芝生に一歩でも侵入されれば、ライフルを突きつける。
そんな彼に、息子たちも寄り付こうとしない。
そして学校にも行かず、仕事もなく、
自分の進むべき道が分からない少年タオ。
彼には手本となる父親がいない。
二人は隣同士だが、挨拶を交わすことすらなかった。
ある日、ウォルトが何より大切にしている
ヴィンテージ・カー<グラン・トリノ>を、
タオが盗もうとするまでは ――。
ウォルトがタオの謝罪を受け入れたときから、
二人の不思議な関係が始まる。
ウォルトから与えられる労働で、男としての自信を得るタオ。
タオを一人前にする目標に喜びを見出すウォルト。
しかし、タオは愚かな争いから、家族と共に命の危険にさらされる。
彼の未来を守るため、最後にウォルトがつけた決着とは――?
いやーもうイーストウッドは伝説の映画人に向けての
ラストスパートをきったね、こりゃ。
年齢的にも、あと何作品映画を撮れるかわからないし、
今から、先鋭的な映像を撮ったりすることは考えられない。
非常にオーソドックスな映画。
だけど、とてもつもなく深い。
イーストウッド演じるウォルトの息子たちが乗る車は
燃費もいいトヨタ。
しかしウォルトは、古臭いが美しいアメ車を愛している。
決して燃費も良くないし、古いデザインだけど
古き良きアメリカの伝統を思い起こさせる
凛とした独特の存在感がある車。
そうこの車<グラントリノ>こそ
イーストウッド演じるウォルトなのだ。
もしかしたら、この映画は
地位低下したアメリカという国を今さら賛美する映画
なんて見られるかもしれない。
でも、「ダーティーハリー」をはじめ
「アメリカの正義」を貫いてきたイーストウッドの
生きざまが感じられるんだわ。
世界各国の作品の映画化権を買いまくり、
リメイクものが乱発するハリウッドにおいて
決して斬新ではなく重たいけど、
アメリカらしい映画を作り続けるイーストウッドの
スタンスは、もはやハリウッド最後の良心なのかもしれない。
彼はあと何年生きるかわかんないけど、
彼が残す映画は、きっと何十年たっても
映画の歴史の中で、いぶし銀のメッセージを放ち続ける。
そんなことを思った作品だったなぁ。



